施設からのニュース

あかぼこ山

2010.02.01
あかぼこ山 50号

1.梅70

  先日、ある会合でのこと。メンバーのひとりIさんが時間に遅れてやってきて、「いや、まいったよ~実はね…」とちょっとした興奮モードで話し始めました。Iさんの話によると、会合の時間を気にしながらお昼ご飯を食べていると、自宅店舗の玄関のセンサーが「ピンポ~ン!」。玄関に出てみると、そこには見知らぬお婆さんが立っていたとのこと。Iさんが見るに、そのお婆さん、身なりがちぐはぐで少し異臭が漂っていた様子。いぶかしげに「どなたですか?」と伺うと、そのお婆さんはいきなり「ワ~!」と上がりかまちに身を投げ出して、「体中のあちこちが痛い、苦しい。布団に休ませてくれ!」と叫び始めたのだそうです。突然の展開にびっくりしたIさん、これから自分も出かけなければならないし、とはいえ目の前には不審なお婆さんが必死に我が家に這い上がろうとしているし。ひとまず「とにかくここで話しを伺いましょう。」と押しとどめようとしたそうです。するとそのお婆さん、体中が痛くて苦しいといっている割には力強く「とにかく布団で休ませてくれ~!」とじりじりと押しあがろうとする。Iさん、正直な気持ちとして「このまま上がられてしまったらどうなる事やら判らない!」、押し合いへしあいをしながら、名前やどこから来たのかを聞きだそうとしましたが、「バスに乗ったら下ろされた。」等と要領を得ない答えしか返って来ない。どう対応したらいいものか途方に暮れながらも、仕方無しに警察に連絡、パトカーの登場となりました。やってきた警官もお婆さんの言動にはすっかりお手上げ。「体中を痛がって、苦しいといっているんだから、とにかく救急車を呼ぼう。」と今度は救急隊の登場となりました。パトカーは来るわ救急車は来るわで近所の人達も「なんだ、なんだ!」の大集合。そんな中、事態解決の期待を背負ったはずの救急隊員は、お婆さんのボディーアセスメントを行うと「特に悪い状態ではないようで救急車の適用ではない。」と早々に引き上げてしまったとのこと(ToT)/~~~。そうなってしまえば最後は「身元不明者」ということで警察のお仕事、「ひとまず交番まで。」ということになりました。ところがそのお婆さん、あれだけ「苦しい、動けない」と言っていたのに最後はスタスタと歩いてパトカーに乗り込んだそうです。まるで吉本の新喜劇!!

後日談として。そのお婆さんは東大和市在住で、軽度の認知症がある為か、しばしば行方不明になる方なのだそうです。その日彼女は自宅付近のバス停から何気なくバスに乗ったのでしょう。ところが乗ったバスが運悪く「梅70」という都内最長路線バス(青梅車庫~西武柳沢駅)、遠路はるばる青梅までやってきた挙句に終点で下ろされたのでしょう。バスを降りたはいいが、そこにあるのは全く見知らぬ町並。決意を固めて歩き出してみたものの、いっこうに心当たりの風景には出会えず、心細い中さまよい歩いた挙句、疲れ果てて、ふと見上げると目の前にはIさんの家の扉。もしかすると知り合いの家に似ていたのかもしれません。「助かった!」とばかりにドアを開けたのでしょう。ところが出てきた男の人はなぜかなかなか家に上げてくれず、挙句の果てにはなにやら大勢が集まってきての大騒ぎに。いきなり騒動に巻き込まれたIさんには同情を禁じえませんが、お婆さんも長い長い1日で、さぞお疲れであったことと思います。「途中のどこかで誰か、気がつかなかったのかな。」というのは第3者の無責任な感想。少々変に思っても、色々と考えてしまって声をかけるまでには至らないのが実際のところ。でも「自分は介護の仕事をしているのだから、そういう時は声をかけなきゃ!」と自らを叱咤するきっかけとなったお話しでした。(ホンマかいな?)


2.第三者評価結果

 本年度も、11月に第三者評価機関による「福祉サービス第三者評価」評価が行われました。以下、(「全体の評価・講評」)について掲載いたします。なお、その他の項目については、インターネットに公開されておりますので、各検索サイトで「とうきょう福祉ナビゲーション」で検索、「福祉サービス第三者評価」から閲覧してください。

(特に良いと思う点)

1)提供しているサービスに対する利用者の満足度が高い。

   今回の利用者調査では、食事介助、トイレ介助や移動介助、趣味やクラブ活動など、基本的なサービスに対して利用者の評価が高い。食事では“おいしい、満足している、残さず食べる”、などの声が多く不満足な回答はない。排泄介助や移動については“移動、排泄で親切、夜もトイレで介助”満足している声が多い。また職員の言葉使いや態度など接遇に関しても、良いと評価している利用者が多く、不満の評価はでていない。施設の目指す“利用者のその人らしさを、暮らしの中で見出して頂くおもてなしの介護”が提供されている様子が伺われる。

)専門職間の現場連携の良さ

   各専門職間の業務連携活動が活発である。介護部門は摂食や皮膚疾患、排泄状況等の日常観察で、異常があればすぐ看護職と連携している。看護師は巡回時に利用者の排泄状況や、入浴時に皮膚疾患や褥瘡を確認、また寮母主任と医療的課題と利用者の生活援助について打合せしている。管理栄養士は適切な食事提供及び栄養管理のため、介護職及び看護職と情報交換している。訓練指導員は介護職・看護職と連携し、日常生活動作能力の現状を定期的に観察している。医師との連携も密で栄養マネジメント計画なども、医師からの指示を受け作成している。

3)共通課題に対する横断的な取り組み

   「重度化する介護こそ活躍の場」という理念の実現に向けて、事故防止や身体拘束、苦情対策、感染症対策等を重点課題に掲げ取り組んでいる。それぞれの委員会でガイドラインを設けて実施しており、発生状況や対応結果を事業報告書に公開し

全体会議で職員に周知している。職種別会議や主任会議等でも検討しており、各委員会や会議等で議決された議事録がOJT委員会に集約され、新入職員研修のカリキュラムの作成やマニュアルの作成・見直しに反映されている。このように共通課題に対して組織全体で横断的に取り組んでいる。

(更なる改善が望まれる点)

1)施設として特徴あるサービスとは

   サービスのレベルは総じて高い。選択食がないということで食事をBとせざるを得なかったが、その食事の利用者評価も極めて高い。毎年のように現場の改善が見られ、死角のないサービスを提供していると言える。一方で、当施設ならではの特徴ある取り組みというものが見えにくい。“お客様の心に寄り添う介護”を理念に掲げ、身体的・精神的に虚弱化し不安や自信を無くしている利用者の、その人らしい生活と介護を目指しているが、それは具体的にはどういうところで実現しているのか、理念を現場で実践し深めていくプロセスを見せてほしい。

2)リーダー層及び職員のモチベーションと満足度の向上を

   事業報告書に「現場職員の満足度の向上」を掲げている。その中で資格取得への意欲を高める施策の検討・具体化が重要課題であると指摘しているが、事業計画に反映されている形跡が伺えない。また、全職員への指示や申し送りが徹底されないことも見受けられ、その背景に寮母長の空席が意思疎通を円滑に図れない一因にもなっていると思われる。モチベーションの阻害要因は何なのかを明確にし、一つひとつそれを除去して、リーダー層及び職員のやる気と働きがいの向上に取り組んでほしい。

3)計画的な人材構成の転換を

   重度化に伴い看護や介護の業務が増え高度な知識や技術が要求されており、現場職員には大きな負担となっている。この状況を克服するために、常勤・非常勤の比率、非常勤の曜日別の配置及び男女の比率、年齢構成、専門職員など、同性介助、身体的精神的負担、専門性等を考慮してめざす基準はあるのだが、実現には至っていない。着手したばかりのキャリアパスの設計を足がかりとして、計画的な人材構成の転換を図ってほしい。

(評価実施機関:株式会社エム福祉人財)


3.施設の風景

1)クリスマス

 年も押し詰まった12月22日に「クリスマス」が行われました。この日は厨房もお食事のメニューにひと手間もふた手間もかけてとびきりの料理を作ります。例えばテリーヌはS調理員の得意技。白身魚にほうれん草・パプリカなどで彩を生かしたテリーヌに、生クリームとマヨネーズのソースがとても味わい深いアクセントになっています。もちろんクリスマスケーキはS栄養士が腕を奮ったモンブランショートケーキ。これまた大好評でした。(写真が無くて残念!代わりに各居室を回ったサンタクロスやトナカイの写真を載せておきます。)

 

2)こづゆ

 10月のクッキングクラブは、「野菜が美味しい季節だし、実家が農家で野菜を沢山もらったので野菜をいっぱい使いたい。」という担当がいたので「ポトフ」。11月は新人クラブ担当者が「故郷の味を皆さんに楽しんで頂きたくって(会津弁)」出してきました郷土料理「こづゆ」、里芋と山菜と麩に木耳(きくらげ)が独特な食感です。12月は別のクラブ担当者が「12月だからケーキと行きたいところだけれど無理。でもこれなら自分にも出来そうなお菓子だから、お年寄りにもきっと出来る!」という理由で「クレープ」、そして1月はどこの料理か知らないけれど名前はみんなが知っている「のっぺい汁」と、相変わらず頑張っています。お年寄りにも楽しんで頂いています。写真は「こづゆ」です。

 

3)展覧会

 2月12日(金)・13日(土)に友田小学校で行われる2年に1回の展覧会。今年も私たち施設のお年寄りの作品の展示スペースを設けてくださいました。お越しの際にはぜひお立ち寄り下さい。



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