施設からのニュース

あかぼこ山

2007.05.15
あかぼこ山 43号


1.意外と身近な「低栄養」
 栄養に注意!といえば「食べ過ぎ、飲み過ぎ、太り過ぎ。」が定番で、中高年にはメタボリックシンドロームなどという言葉が脅し文句のように聞こえる今日この頃です。テレビをつければ「1日たった15分で、憧れのボディが貴方のもの!」と通信販売の番組がいつも流れていて、そもそもそんな道具とは全く無縁の、スタイル抜群なモデル達が、白い歯をキラリとさせて「おいで、おいで」と微笑みます。夜中に寝酒がてらにそんなテレビを観ていたら、つい催眠術にかかったように電話をしてしまったなんて経験はありませんか?ウチでもお腹ブルブルとか不思議な形の腹筋トレーニング用具が押入に眠っています(-_-;) ところで、「私は痩せているから大丈夫、元気そのもの!」と言う方々もいらっしゃると思いますが、高齢者にとって意外と見逃されがちなものに「低栄養」があります。
 肥満度の判定方法の一つにBMI(ボディ・マス・インデックスの略)指数と言うものがあります。耳にされた方もあるかと思いますがいかがでしょうか。考え方としてはBMI指数22.0を標準値として、標準値から離れるほど有病率が高くなるというものです。
BMI指数 評価
18.5未満 やせ
18.5〜25未満 標準
25〜30未満 肥満
30以上 高度肥満
BMI指数は次のように算出します。
⇒  BMI = 体重(kg) ÷ 身長(m)2  
【体重(kg)を身長(m)の二乗で割る、または体重を身長で2回割ります。】
(例)身長165cm、体重60kgの場合、 BMI=60÷(1.65)2 =22.04 になります。(評価は左表を参照)
 ご自身のBMI係数を計算してみてください。意外と22・0という数値を下回っている方がいらっしゃるんじゃないかと思います。特に18.5を下回ると「低栄養」状態です。もちろん、この指数は身長と体重の間の統計的な資料に基づく一般論であり、全ての方々該当するものではありません。ですが、平成14年国民栄養調査結果から、自立した高齢者の栄養状態を見ると、65歳以上で年齢が5歳高くなる毎にBMIが18.5未満である方の割合は増大し、85歳以上では、4人に1人が「やせ」であることが明らかになっています。一般的に低栄養状態は@免疫力の低下A慢性疾患の悪化、のリスクを高めると言われています。「元気で、長生き」の為には低栄養状態は必ずしも良い影響は無いようです。
 このような低栄養状態を生み出す要因の一つに、高齢者の食の細さが上げられます。例えば動物性たんぱく質に対する目安となる血清アルブミン値では、低栄養の目安となる3.5g/dl以下の出現率は65〜69歳で0.8%、これが85歳以上になると7・3%に上昇します。(血清アルブミン値は医療機関で行う血液検査で測定できます。血液中のたんぱく質の約60%を占め、栄養状態、特にたんぱく質の摂取状態を示す値となっています。)要するに、年齢が進むほど動物性たんぱく質の摂取量が減少していることを示しています。これには嗜好の問題もありますが、咀嚼嚥下といった口腔機能の問題も考えられます。つまり、「食べろと言われても、なかなか食べられない。」という問題もあるようです。また、高脂血症や高血圧症があり、「コレステロールに注意してください。」と言われれば、好きでも肉には手を出せないという場合もあるようです。とはいえ、東京都老人総合研究所の調査で「65歳以上の高齢者1500人を対象に調査したところ、血液中のアルブミン値の高い人ほど長生きする傾向のあることが分かった。」などの例があるように、「元気で、長生き」の条件として、上手にたんぱく質を摂ることが不可欠だということは統計的に確かなようです。日ごろの食生活を思い浮かべてみてください。「佃煮ジジイ」や「漬物ばあさん」になっていませんか?
 ところで、少し脇道にそれますが「漬物とご飯があれば十分。」という発想はいったいどこから来ているのでしょうか。詳しくはわかりませんが、司馬遼太郎氏の著書『菜の花の沖』にその件について触れた部分があります。『菜の花の沖』は、江戸後期に淡路島の貧家から身を起こし、商人として歴史に名を残した高田屋嘉平の生涯を描いた歴史小説です。その中で、嘉平ら一行を乗せた船が、当時東方へ膨張しつつあったロシア軍艦に拿捕され、ウラジヲストックにひと冬抑留される場面があります。そこで嘉平らは現地の食べ物を口にすることなく(その気があってもとても口には出来ず)、ひたすら船にあった米に味噌、わずかな漬物を食べ続けます。結果としてビタミン不足に陥り、「脚気」を発症し、次々と命を落としてゆきます。それでも彼らは白米と味噌の食事がもたらす滋養にはなんら疑いを持つということがありませんでした。船乗りは白米を食べる。その背景には白米を食べるということに一つのステイタスがあったことが挙げられています。当時江戸市中では「白米」に対する絶対的な信仰のようなものがあったそうです。例えば地方では白米を食べることは出来ませんが、江戸ならば白米を食べることが出来る。つまり都会生活への優越感があったのかもしれませんが、それゆえ食事も白米ばかりに偏重しがちだったようです。「脚気」も江戸ならではの病気。江戸で脚気になって地方に戻ったら治ったなどという話もあったそうですが、白米に対する信仰は揺らがなかったそうです。今にしてみれば白米より玄米のほうが栄養価が高いのは当たり前、もし嘉平一行も玄米を食べていたならば死なずに済んだ者もいたのかもしれません。話は随分横道にそれましたが、もう一度。「佃煮ジジイ」や「漬物ばあさん」になっていませんか?

2.俳句
お客様から寄せられた俳句を掲載させて頂きます。
 春豊か 心あらたに ジャスミンの香  (小嶋英子様)
 桜待つ 日々に嬉しき 心待ち     (中野幸子様)
 生甲斐は 老後も頼りに される日々
 やさしさと 笑顔で押してる 車椅子
 年寄りの 手です足です 福祉バス
 花活けて 器の位置を 替えて見る
 山あいの 香りほのかに 梅の里    (以上5句 竹鼻貞子様) 
  
3.施設の風景
@ カラーで見て欲しい!

 左の写真はいつもながらのクッキングクラブの写真です。メニューは「鶏の塩釜焼き猟師風」。お皿はダイソーの100円商品です。美味しそうでしょ?印刷では白黒なので、ぜひホームページに掲載しているカラーの方を見てください。レシピは意外と簡単なので、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。(なお、鶏肉は塩が細々と入り込んでしまうので、豚ブロックのほうがいいかもしれません。)

@ 厚手の鍋(またはフライパン)に塩を敷きます。
A ローリエを並べて敷きます。
B 塩・コショウした肉を乗せます。
C ローリエを並べて乗せます。
D 肉が埋まるように塩を盛ります。
E そのまま弱火で15分から20分程度待ちます。それだけです。
とても美味しそうな香りが立ち込めますので、そちらも堪能してください。今回の付け合せは、ジャガイモ、ほうれん草、ミニトマトでした。次回は「春キャベツとポリペッティーネのトマトシチュー」です。

A 春を告げるお祭りが来た。
 4月15日は地元の八雲神社春季例大祭。神輿を担いだ粋な兄さん姉さん、掛け声よろしくやって来ます。「お出迎えするわっちらも、元気を出さなきゃ失礼ってもんで。台数だけなら引けを取るめえ!」とずらりと並べた車椅子。心意気だけは買っとくれ!表通りには山車を引く声が響いて、お囃子も各階を廻ります。三寒四温の春ですが、このお祭りを迎えると、ようやく施設にも本当に春らしい気候が訪れます。


4.施設からのお知らせ
@ 「夏の交流会」のお知らせ

 夏の初めのイベントです。施設ご近隣の皆様もこの機会にぜひ当施設へお越し下さい。1階玄関前では、縁日宜しく「金魚すくい」や「ダーツゲーム」等、景品そろえてちびっ子達を待ってます。2階食堂では「キンキンにしゃっこいルービー」もとい「とっても冷えたビール」で皆様をお待ちしております。「老人ホームなんて初めて見たなあ〜」なんて言いながら飲むだけ飲んで帰るのも、たまにはいいんじゃないでしょうか。
日時    7月1日(日) 午後 1時 30分 より (3時頃まで)
場所    カントリービラ青梅  (JR青梅線小作駅西口下車、多摩バス「青梅駅行」万場坂バス停下車、徒歩2分)
その他   当日はJR東青梅駅南口より送迎車が(午後1時頃より)運行しております。
お問い合わせは当施設まで、お気軽にお電話下さい。

A 在宅介護教室開催のお知らせ
 今年度も下記の予定で「在宅介護教室」を行わせて頂きます。第1回は6月23日(土)に実施いたします。在宅で介護をされている方、介護に関心をお持ちの方、ぜひご参加を。

 第1回 「食事介護の実際とそのポイント」     6月23日(土) 午後1:30〜3:00
 第2回 「移動、移乗介助の実際とそのポイント」 9月29日(土) 午後1:30〜3:00
 第3回 「排泄介護の実際とそのポイント」    12月15日(土) 午後1:30〜3:00
 第4回 「認知症介護の実際とそのポイント」   3月22日(土) 午後1:30〜3:00


※ 毎回、JR東青梅駅西口より午後1時に送迎車を用意しております。
※ 参加費はございません。また、その回のみのご参加でも結構です。ご不明な点がございましたらお気軽に、当施設(小嶋・比留間)までお問い合わせ下さい。


特別養護老人ホーム カントリービラ青梅