2007.03.15号
あかぼこ山 42号


1.施設の風景

1)明白院

 2月27日にお散歩クラブで市内の明白院に出向きました。お目当ては寺院正面の「しだれ梅」です。風も無く日差しがとても暖かく感じられてまさに観梅日よりでした。

明白院は日向山と号し、本尊は勝軍地蔵です。天正年間(15731592)に天江東岳を開山とし、三田氏の家臣野口秀房を開基として創立されました。その後、延享元(1744)年に堂宇が再建され、大正年間(19121926)に増改築、および内外の整備が行われました。山門は、木造茅葺の四脚門で、田辺清右衛門の楯ノ館にあったのを、明白院建立の際に移築したものと伝えられています。桃山時代の作風を残しているといわれ、市の有形文化財に指定されています。(『青梅を歩く本』青梅市教育委員会)また、2月に行われる青梅マラソンの10kmレース折り返し地点、30kmレースの25km地点でもあり、今年も多くのランナーが咲き始めた梅の香りに後押しされ、疲れた体に元気を奮い起こしたのではないでしょうか。右の写真は、石段に腰を下ろしておやつに肉まんを食べているところです。陽だまりの中で梅の香りに包まれてのお茶。施設の中ではなかなか味わえない美味しさです。ちなみに明白院はJR青梅線宮ノ平駅から青梅街道を奥多摩方面に5分ほどいった街道沿いにあります。しだれ梅は毎年2月中旬頃が見頃のようです。

2)節分

 節分の行事はいつも賑やかです。昼食会では年男(女)の方に裃をつけて頂き、「鬼は外、福は内!」と豆まきを行います。なかなか豆は後のほうまでは届きませんが、飛んでくる豆に自然に手が伸びます。しかし節分のメインイベントは午後の豆まきです。豆まきには鬼が付物ですから鬼の扮装をした職員がいます。なぜか七福神もついて行いきます。布袋様役の職員はツンツルテンでメタボリック、弁天様はひらひらで、毘沙門天はひげモジャモジャ…都合10人ほどで各部屋を廻ります。途中、各階のデイルームで豆まきを行いますが、お年寄りが手に持っているのは豆ではなく玉入れの玉。これを鬼に向けて投げつけます。この玉、顔に当たると結構痛い。あちこちから投げられるので、思わぬ角度から顔にバンときます。「痛い!」と鬼が玉の来た方向に顔を向けるとそこにいたのはお年寄りではなく恵比寿天。「やったな!」と鬼は落ちている玉を拾い上げて恵比寿天に投げつけます。狙いは外れて後ろにいた寿老人の後頭部に命中!振り向く寿老人の目には怒りの炎が…とたんにあたりは敵味方の区別がなくなり雪合戦状態となります。ある布袋様の一言。「この姿だけは家族に見せられないよ…。写真なんか撮っているけど、内緒だからね!」



3)大根と油揚げの鍋〜梅安風〜




翌々日。日暮れ近くになって、治療を終えた藤枝梅安が入浴を済ませたところへ、萱野の亀右衛門が訪ねてきた。すでに、おせき婆は帰ってしまい、梅安の居間へ夕餉の膳が仕度してある。
「いつも、こんな時刻にお訪ねをして、申しわけもないことで」
「いや何、一向にかまいませぬ。ま、こちらへお入り下さい」
「それでは、ごめんを…」
「ま一つ、こんなものでもよければ、いっしょに箸を入れながら、話し合いましょう」
畳に分厚い桜材の板を置き、その上の焜炉に土鍋が懸かっている。  ぶつ切りにした大根と油揚げの細切り。それに鶏の皮と脂身を、これも細切りにし、薄めの出汁をたっぷり張った鍋で煮ながら食べる。
(『梅安針供養』池波正太郎著 講談社文庫P116117より)

 毎度毎度のクッキングクラブです。2月のレシピは「大根と油揚げの鍋〜梅安風〜」で、クラブのコンセプトである「男の料理」にぴったりのテーマです。なぜぴったりなのかというと「〜梅安風〜」にあります。梅安といえば時代小説作家である池波正太郎氏の代表作の一つ「仕掛け人シリーズ」の主人公、藤枝梅安。池波正太郎氏の作品には「うまそうな物」がたくさん登場してきます。それらを登場人物がいろいろなシーンで料理し食していますが、共通しているのはどれも、とても「うまそう」だということです。これも代表作『「剣客商売』では、主人公の秋山小兵衛老人がうら若きご新造のおはるに様々な料理を作らせますが、例えば炒った鴨肉に卵をあえてたものをご飯にまぶしてさらっと食べたりしています。その息子の大次郎が独り者の貧乏時代に「根深汁」でご飯を何杯もかき込む場面がありますが、根深汁などは言ってみればダンダンダンと切ったねぎが入っているだけの味噌汁です。ところがこれがまたうまそうなんです。(私も家で「根深汁だ」と言って、もったいぶって子供に食べさたりしますが、これが結構評判がいい。)その秋山小兵衛に負けず劣らずなのが「仕掛け人シリーズ」の梅安さん達の手料理です。「剣客商売」の料理が主におはるが作る家庭料理風なものであるのに対し、梅安さん達が作るのは男の酒の友のような料理です。ですから素材を活かして大胆にざっと作ってうまいものが多いような印象があります。(ちなみに梅安さんの仲間の「彦さん」こと彦次郎もうまそうなものを作るので「梅安さん達」としました。)今回取り上げた「大根と油揚げの鍋」もそんな男の料理の一つです。造り方は意外とシンプルで鍋に出汁をとった後に1)〜3)材料を順番に入れて行きます。ちなみに3月は「五目ちらし」の予定です。

 1)大根(時間の関係で千六本にしたもの)をたっぷり入れる。
 2)一口大に切った鶏のモモ肉。(お年寄りに鶏皮は少し辛そうなので)
 3)湯通しした油揚げを2cm幅ほどに切ったもの。
 4)大根が煮えるまで待つ。
 5)器に盛り付け、三つ葉を散らす。

※ 今回当クラブで造りました「大根と油揚げの鍋〜梅安風〜」のレシピは「断腸亭料理日記」の「池波正太郎関連レシピ・店」を参考にさせて頂きました。(「断腸亭料理日記」(断腸亭錠志さんのサイト:http://www.netpassport.or.jp/~wysaka01/home.html

2.施設からのお知らせ

1)在宅介護教室

日時 3月25日(日)午後1:30〜3:00 場所 カントリービラ青梅
内容 「車椅子の操作のあれこれ」

  車椅子を押したことはありますか?やってみると意外と難しい場面に遭遇します。例えば施設の中などのように基本的にバリアフリーになっている環境下では楽に取り扱うことが出来ますが、一歩屋外に出ると様変わりします。小さな段差や斜面、でこぼこ等操作に困惑してしまう場面も少なくないと思います。今回は実際に二人一組になって、施設周辺を車椅子を押して歩いてみます。押すばかりではなく、押されて始めて判ることもきっとありますよ。お気軽にご参加下さい。

  ※午後1時にJR東青梅駅南口に施設送迎車が出ますのでご利用下さい。

2)ボランティアの募集のお知らせ

  これまで月例行事として取り組んでまいりました各種外出行事(「お花見」や「遠足」など)は、お客様の状態像の変化や輸送能力の制限に伴い、お客様全体を対象とした「月例行事」として行うには参加者の幅があまりに小さくなってしまったため、2007年度より「お散歩クラブ」の延長として取り組むこととなりました。また、お散歩クラブとしましては、従来月1回であったものを月2回の取り組みとして実施し、より多くの方に外出の機会を持って頂こうと、働きかけることといたしました。現在いらっしゃるお年寄りは殆どが車椅子を必要とされる方々です。参加人数は車椅子の押し手の数に関係してまいります。一人でも多くの方に車椅子押しのお手伝いをお願いいたします。

お散歩クラブの実施日) 毎月第2・4水曜日 午前9:30〜11:30 (雨天中止)

3)やっぱり怪しい今年のインフルエンザ

定点あたり患者報告数(東京都)

  感染症ネタはもうたくさんですが、右の表を御覧下さい。3月になっても上昇しているのが今年の流行状況です。例年の流行はA型インフルエンザで、一番大きい山は一昨年のB型流行の数字です。今年はA型の流行と公表されています。グラフから例年と流行の形が大きく異なっているのが判ります。今後の予想は非常に困難だと思われます。引き続き手洗い、うがい、人混みにご注意を。
東京都感染症情報センター「東京都のインフルエンザ流行状況」より)