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あかぼこ山

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あかぼこ山 29号

2004.07.01号

1.これからの季節、脱水症にご注意を。

 梅雨明けを迎えるこの季節、高齢者の方々にぜひご注意いただきたいものに「脱水症」があります。

脱水症とは

 体内の水分が急激に少なくなることによって、病的な症状が現れることです。これは水分およびナトリウム(Na)が補われる以上に失われることにより起こります。脱水症には水分の欠乏と、Naの欠乏に分類されますが、臨床的には両者の混合タイプとして取り扱うのが実際的で、分類にはあまりこだわりません。「老化は乾燥の過程である。」と言われることもあるとおり、高齢者になるとたやすく脱水症に陥りやすいということを知っておかなければなりません。

(1)人間の身体の水分必要摂取量と排泄量

 元々人間の身体組織の約60%が水分から構成されています。下表は室温28度の状態での1日の水分量の出入りを示しています。

(表1)                     単位:ml

排出量

摂取必要量

尿        1500

飲水         1500

皮膚・肺 700〜1000

固形食(食物)700〜1000

糞便    200〜300

燃焼水     200〜300

計  2400〜2800

計    2400〜2800

※ 皮膚・肺:不感蒸泄、発汗、呼吸による皮膚、肺からの排泄。

  糞便  :糞便中の水分、再吸収されない消化液。

  燃焼水 :細胞内のエネルギー代謝物として産出される水分。

       不感蒸泄:皮膚と肺からの呼吸による水分排泄

(体重1kg:20ml⇒体重50kg:1,000ml)

 

(2)高齢者に脱水症が生じやすい原因

@水分の摂取不足

・頻尿や尿失禁を恐れて飲水制限をしてしまう。

・渇中枢の機能低下により、口渇感の減弱がある。

・痴呆症などによる意識(飲水)の低下、水分摂取が出来にくい状態になる。

・嚥下障害により飲水量が低下する。

・食欲低下をきたす基礎病態の出現。

・下痢、嘔吐の時、繰り返すことを恐れて飲水制限をしてしまう。

A水分を貯蔵しておく部位の減少

・水分を貯蔵することが出来ない脂肪の割合が多くなる。

B体内の水分減少

・加齢による基礎代謝の減少により、細胞内でのエネルギー代謝産物として出てくる水分(燃焼水:上表参照)が減少します。

・細胞の老化は細胞内液の減少をもたらします。その為に若年層より水分代謝のバランスを崩し易くなっています。

C水分排泄の増加

・腎機能低下(尿濃縮力の低下)のため、薄い尿を多く排泄してしまう、また高カルシウム血症や高血糖により、尿が出すぎる状態となるなど必要以上の水分を尿として排泄してしまう場合があります。また利尿剤などを服用している場合なども注意が必要です。

Dその他発熱、発汗の際にも水分は失われます。

(3)脱水症の兆候(発見のサイン)

虚弱な高齢者など、体調の不良を自ら訴える力の低下している方々の場合、介護者が脱水状態を見落としてしまうことも考えられます。しかしこの状態を放置すると血液濃度が高まり、高血糖状態となり、血液が固まりやすくなるなど脳梗塞や糖尿病の昏睡状態の引き金ともなり、生命にかかわることもあります。そのため、介護者は日常の介護場面で次のような兆候に気をつけるようにして下さい。

@口渇感があり口唇、舌が乾燥します。特に舌は兆候が顕著で、ガサガサな状態になります。

A皮膚がパサパサに乾燥したり、弾力の減少が現れます。(腋の下などの湿り気が無くツルツルする状態など)

B食事、水分摂取量が少なく、尿量の減少があります。

C発熱、頭痛、めまい、頻脈、低血圧などの体調不良状況を示します。

D時に意識障害、せん妄、幻覚、痙攣などの症状が出現することがあります。突然ボケてしまったように見えます。

(4)脱水症の対応

@意識があるとき:上記表1を参考に、水分摂取必要量を経口的に補給します。

・発熱があるとき

  高熱は水分消失量が増大するため解熱を図る。(但し疾病により対応が異なる場合があるため、医師に相談して下さい。)

・下痢、嘔吐のあるとき

  ミネラルイオン飲料またはスポーツドリンクを薄めて使用する。1回の補給量は少なくして、30分〜1時間間隔で回数多く補給する。なお、嘔吐、下痢の回数が多い時は医師に相談して下さい。

・嚥下反射が弱っているとき

  嚥下に困難性を抱えている高齢者に対して、通常の水分での水分補給は困難な場合が少なくありません。トロミ添加剤(市販)を使用する場合もありますが、より喉どおりが良く、摂取しやすいものに水分補給用のゼリーを用いる方法があります。

(材料)   @水または麦茶(ほうじ茶):1リットル A粉ゼラチン:15グラム B砂糖:60グラム

(作り方)  @水または麦茶(ほうじ茶)を沸騰させ、粉ゼラチン・砂糖を混ぜ合わせる。

        A1回分(200CC程度)の入れ物に小分けし、冷蔵庫で1日冷やす。(ゼラチンは固まるまでに1日は必要です。)

・ミネラル飲料やスポーツドリンクを嫌う場合

  味噌汁、スープなど好みのものを代用。なお、一時的対応の場合にはソフトドリンクやゼリー、プリンなどでも可能です。

A意識の無いとき

  経口的な補給が困難であるため、点滴による補液が必要となるため、医療機関での対応となります。

(5)糖尿病を持つ方の脱水防止

  通常の食事が出来ない状態、通常の食事は出来るが発熱・発汗が続いている状態など、症状により補給する水分内容が異なってくるほかに、時間ごとの血糖チェックなども必要となります。脱水症の症状が現れていたり、充分量の摂取が出来ない時にはまず主治医に相談しましょう。

(6)その他

  老人には脱水症が起こりやすいということで、よく食べている老人にも水分をせっせと補給している方も見かけますが、中には心臓病や腎臓病のため水分補給制限が必要な方がいます。個々の病態を知り、その人に必要な量の水分補給を行うことに心がけてください。

※資料 ORS(経口的脱水治療法:WHOやユニセフが行っている応急的処置)

水分は腸で吸収されますが、赤痢などの感染で下痢が著しい場合、単純に水分を補給しても体への吸収は困難になります。その点スポーツドリンクなどは胃でも吸収されますが、被災地などでは調達困難な場合があります。そのため身の回りにあるもので代用します。(「命の水」と呼ばれています)

  ・煮沸した1リットルの水+砂糖40g(またはブドウ糖20g)+塩3g

  家庭では次のようにも出来ます。

  ・電子レンジで50秒暖めた250ccの水+砂糖大さじ1+塩小さじ1/2。これを2リットル分つくり、8回に分けて補給します。但し、あくまで応急処置です。とりすぎは体内のイオンバランスを崩してしまうので注意が必要です。

  ※(熱中症)水1リットル+塩1グラム+砂糖40gまたはブドウ糖20g(下痢)水1リットル+塩3グラム+砂糖40g

 

2.情報公開

 社会福祉法人長渕福祉会ならびにカントリービラ青梅の平成15年度財務諸表等を下記の通りお知らせ致します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


3.お知らせ

@    在宅介護教室          

 (日時)  725日(日)午後1:30〜3:00  

(テーマ) 「排泄介護にまつわる主な疾患」    

(場所)  カントリービラ青梅            

 

 (マス釣りに行きました。) 

6月3日に奥多摩フィッシングセンターでマス釣りを行ないました。釣ったその場で唐揚げに!爽やかな風と木々の緑、天気にも恵まれて皆さんの笑顔も最高でした。


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