施設からのニュース
あかぼこ山 2002年10月1日号

2015.8.1
あかぼこ山 56号

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1.水分摂取の必要性

 夏といえば高温・多湿。自宅で介護する方にはご苦労の多い季節です。この高温多湿の季節にぜひ気をつけていただきたいものに「脱水症」があります。お年寄りの介護にとって脱水症予防は大切なことですから、この時期は何度でも広報誌に掲載してより多くの方にわかっていただき、脱水症を予防してもらえればと思います。  

脱水症とは
 体内の水分が急激に少なくなることによって、病的な症状が現れることです。これは水分およびナトリウム(Na)が補われる以上に失われることにより起こります。脱水症には@水分の欠乏と、ANaの欠乏に分類されますが、臨床的にはB両者の混合タイプとして取り扱うことが多く、分類にはあまりこだわりません。「老化は乾燥の過程である。」と言われることもあるとおり、高齢者になるとたやすく脱水症に陥りやすいということを知っておかなければなりません。

(1)人間の身体の水分必要摂取量と排泄量
元々人間の身体組織の約60%が水分から構成されています。下表は室温28度の状態での1日の水分量の出入りを示しています。(表1)              単位:ml

排出量

摂取必要量

尿       1500

飲水        1500

皮膚・肺700〜1000

固形食(食物700〜1000

糞便   200〜300

燃焼水    200〜300

計  2400〜2800

計    2400〜2800

※ 皮膚・肺:不感蒸泄、発汗、呼吸による皮膚、肺から       の排泄。

  糞便  :糞便中の水分、再吸収されない消化液。

  燃焼水 :細胞内のエネルギー代謝物として産出され                                      る水分。

       不感蒸泄:皮膚と肺からの呼吸による水分排泄

※ 必要水分量:35(ml/kg)×体重(kg)

      例)体重50kgの方:35×50=1750ml

       但し体温が1℃上昇するごとに150ml増加します。

(2)高齢者に脱水症が生じやすい原因

@水分の摂取不足        ・頻尿や尿失禁を恐れて飲水制限をしてしまう。・渇中枢の機能低下により、口渇感の減弱がある。・認知症などによる意識(飲水)の低下、水分摂取が出来にくい状態になる。・嚥下障害により飲水量が低下する。・食欲低下をきたす基礎病態の出現。・下痢、嘔吐の時、繰り返すことを恐れて飲水制限をしてしまう。等々


A水分を貯蔵することが出来ない細胞の割合が多くなり、若年層より水分代謝のバランスを崩し易くなって
います。

B体内の水分減少

・加齢による基礎代謝の減少により、細胞内でのエネルギー代謝産物として出てくる水分(燃焼水:上表参照)が減少します。

C水分排泄の増加

・腎機能低下(尿濃縮力の低下)のため、薄い尿を多く排泄してしまう、また高カルシウム血症や高血糖により、尿が出すぎる状態となるなど必要以上の水分を尿として排泄してしまう場合があります。また利尿剤などを服用している場合なども注意が必要です。

(3)脱水症の兆候(発見のサイン)

虚弱な高齢者など、体調の不良を自ら訴える力の低下している方々の場合、介護者が脱水状態を見落としてしまうことも考えられます。しかしこの状態を放置すると血液濃度が高まる、高血糖状態となる、血液が固まりやすくなるなど脳梗塞や糖尿病の昏睡状態の引き金ともなり、生命にかかわることもあります。そのため、介護者は日常の介護場面で次のような兆候に気をつけるようにして下さい。

@口渇感があり口唇、舌が乾燥します。特に舌は兆候が顕著で、ガサガサな状態になります。

A皮膚がパサパサに乾燥したり、弾力の減少が現れます。(腋の下などの湿り気が無くツルツルする状態など)

B食事、水分摂取量が少なく、尿量の減少があります。

C発熱、頭痛、めまい、頻脈、低血圧などの体調不良状況を示します。

D時に意識障害、せん妄、幻覚、痙攣などの症状が出現することがあります。突然ボケてしまったように見えます。

(4)水分補給の実際

@意識があるとき:上記表1を参考に、水分摂取必要量を経口的に補給します。

・発熱があるとき

 高熱は水分消失量が増大するため解熱を図る。(但し疾病により対応が異なる場合があるため、医師に相談して下さい。)

・下痢、嘔吐のあるとき

  ミネラルイオン飲料またはスポーツドリンクを薄めて使用する。1回の補給量は少なくして、30分〜1時間間隔で回数多く補給する。なお、嘔吐、下痢の回数が多い時は医師に相談して下さい。

・嚥下反射が弱っているとき

 嚥下に困難性を抱えている高齢者に対して、通常の水分での水分補給は困難な場合が少なくありません。トロミ添加剤(市販)を使用する場合もありますが、より喉どおりが良く、摂取しやすいものに水分補給用のゼリーを用いる方法があります。

(材料)   @水または麦茶(ほうじ茶):1リットル A粉ゼラチン:15グラム B砂糖:60グラム

(作り方)  @水または麦茶(ほうじ茶)を沸騰させ、粉ゼラチン・砂糖を混ぜ合わせる。

       A1回分(200CC程度)の入れ物に小分けし、冷蔵庫で1日冷やす。(ゼラチンは固まるまでに1日は必要        です。)

・ミネラル飲料やスポーツドリンクを嫌う場合

 味噌汁、スープなど好みのものを代用。なお、一時的対応の場合にはソフトドリンクやゼリー、プリンなどでも可能です。

A意識の無いとき

  経口的な補給が困難であるため、点滴による補液が必要となるため、医療機関での対応となります。

(5)糖尿病を持つ方の脱水防止

  通常の食事が出来ない状態、通常の食事は出来るが発熱・発汗が続いている状態など、症状により補給する水分内容が異なってくるほかに、時間ごとの血糖チェックなども必要となります。脱水症の症状が現れていたり、充分量の摂取が出来ない時にはまず主治医に相談しましょう。

(6)その他

  心臓病や腎臓病のため水分摂取制限が必要な方の場合、医師からの説明を受け、その人に必要な量の水分補給を行うことに心がけてください。 

2.夏の交流会

 先月上旬、当施設の夏の恒例行事であります、「夏の交流会」を開催させていただきました。施設の入り口前では、焼きそばやスパイラルポテト、かき氷などを作り、みなさんに食べていただきました。今年も焼きそばのブースの前に多くの方々が並んで下さったのですが、調理が追い付かず、長い時間お待ちしていただくことになってしまいました。また、焼きそばの材料がなくなって、召し上がれなかった方々もいたので、来年はもっとたくさんの方々にお渡しできるように頑張っていきたいと思います!「次はこんなのが食べたいなぁ」などリクエストいただければ、準備しておきますよ〜(^v^)今年は来られなかった方も来年はぜひ、いらして下さい!        

 3.青梅太鼓の方々が来苑!

 7月18日に、「青梅太鼓」の方々が来苑して下さり、太鼓の演奏を披露して下さいました。普段太鼓の大きな音に触れる機会がない御利用者様にとっては、とても貴重なお時間になったご様子で、感動して泣かれている方やじっと集中して観覧される方、笑顔で手拍子の方々もいらっしゃり、楽しい良い時間が過ごせたのではないかなと思います。  

 






















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